Virtual Experiences in Reality

Virtual Experiences in Reality は、映像体験におけるリアリティの定量的基盤と、感覚的な経験値が生み出す映像体験の質の両側面を、評価・活用できるワークフロー構築を目指すプロジェクトです。

Project Overview

 映像の国際標準規格(ITU-R BT.2020, 2100, etc)では、解像度、輝度、色域、フレームレートなどの物理的映像パラメータを、人間の視覚特性をもとに現実に近いリアリティを構築する目的で、標準化されてきました。一方で、映画という表現形式が、24fpsという低フレームレートであるにもかかわらず、高い没入感とシネマチックな感覚[1]をもたらしているように、人間の“感じ方”によって成立する映像体験の質には、未だ定量化が困難な領域が存在しています。

本プロジェクトでは、既存の視覚研究や心理物理学的知見――たとえば輝度応答、視野角、視線誘導、時間分解能に関する学術的知見――を積極的に参照しつつも、次世代映像(HDR、ハイフレームレート, etc)、HMDベースのイマーシブ及びインタラクティブ映像など、実際の映像制作を通じて得られる映像体験の質を重視します。かつて映画が24fpsという形式の中で高い映像体験の質を達成したように、ロゴスコープは、現在の多様な技術環境の中で、あらためて人間がリアリティを感じる高い臨場感と、そこに介在する感覚的な経験値が生み出す映像体験の質の両側面を、評価・活用できる次世代映像のワークフロー構築を目指します。

[1] 映画の“映像体験の質”は、視覚の物理的な受容限界をあえて超えないことで、逆説的に美的体験や文化的意味を生成しているとも言えるのではないでしょうか