カテゴリー
Events News Workshop

ワークショップ開催
『Scene-linear Workflow / ACES』
MARK Vol.5

2025年5月30日(金)、株式会社ロゴスコープは、CG・VFX会社の株式会社MARKと協働で、ワークショップ『Scene-linear Workflow / ACES』を開催しました。

本ワークショップは、インストラクター(ロゴスコープ・亀村)が、参加者であるCGアーティストのデスクトップ画面を見ながら対話形式で進行するスタイルを採用しています。各参加者のデスクトップ画面はアーカイブとして記録され、終了後も自身の作業を振り返るビデオリフレクションが可能です。今回は、4名の参加者(CGアーティスト/ MARK)と2名の聴講者(プロダクションマネージャー/ MARK)に加え、ワークショップを補助する2名のファシリテーター(テクニカル・アーティスト/ MARK)が加わり、10:30~19:00にわたる長時間のワークショップを開催しました。

下記の 7 つのワークショップ項目のうち、1 つ目のパートでは、カラーチャートの物理特性を参照しながら CG シーンを構築する「シーンリニアワークフロー」に取り組みました。参加者はまず、カラーチャートをサンプルして取得したデータ値をもとに Google スプレッドシート上でグラフを作成し、クラウドで共有されたグラフを参照しながら、素材が正しく線形性を保っているかを互いに確認しつつ、数値ベースで階調を合わせる作業を行いました。感覚に頼らず数値で階調を判断することで、作業者間のばらつきを防ぎ、ワークフローの一貫性向上と実制作における効率化が期待できます。(ワークショップのダイジェスト動画では、参加者 2 名が現実世界と線形で対応するディスプレイの明るさを比較しています。)

1. シーンリニアによるカラーマネージメントの仕組み(現実シーン/コンピュータ/ディスプレイの比較)
2. シーンリニア画像の取り扱い(Add・Multiplyなどの四則演算)
3. 色空間の取り扱い(Gamut CompressionとNegative Value)
4. シーンリニアコンポジット(Un-premultiply, Pre-multiply, Screenなど)
5. 作業色空間(ACEScgとsRGBの比較)
6. ルックデブとHDRI
7. マットペイントワークフロー

現実世界とディスプレイの比較(ダイジェスト動画)

5 番目の「作業色空間」のパートでは、使用するソフトウェアの作業色空間・ワーキングスペース(ワークショップのダイジェスト動画ではマテリアルカラー・パレットの色空間を変更) が VFX の品質にどのような影響を及ぼすのかを検証しました。sRGB や ACEScg など多様なカラースペースが存在する中で、データ損失のリスクや、現実世界に忠実な色・階調再現を行う上で、質感付けに最適な作業色空間はどれかを探る内容となりました。作業色空間の違いが、感覚的な色操作やディスプレイ上に表示される物理的な測色値にどのような影響を与えるのかを、リアルタイムに確認しながら検証を進めました。

マテリアルカラーパレットの色空間(ダイジェスト動画)

ワークショップ後のアンケートでは、参加者からワークショップに対する多くの前向きな意見が寄せられました。授業やセミナーとの比較に関する設問でも、下図に示すとおり、高い満足度を示す結果となりました。